相続した空き家の固定資産税が払えない!対応策や解決方法も解説
突然空き家を相続し、固定資産税の納付書が届いたものの、「どうしたらいいのだろう…」とお悩みではありませんか。こうした問題は珍しいことではありません。
もし放置してしまうと延滞金が発生し、最終的には財産の差し押さえに至る可能性もあります。
本記事では、空き家にかかる固定資産税の滞納リスクから、納付が困難な場合の具体的な対処法まで解説します。

空き家の固定資産税|仕組みと滞納のリスク
相続によって取得した空き家であっても、所有している限り固定資産税の納税義務が生じます。固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課されるためです。
特に注意したいのが、空き家を適切に管理せず放置し、自治体から「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定された場合です。
- ▼ 通常
- 住宅が建つ土地には「住宅用地の特例」が適用され、税額が最大で6分の1に軽減されています。
- ▼ 指定後
- 「住宅用地の特例」の対象から外れてしまい、税負担が最大で6倍に増えてしまう可能性があります。
もし固定資産税を滞納し続けると、事態は段階的に深刻化します。
① 延滞金の発生:納付期限の翌日から、延滞金が加算されます。
② 督促状が届く:自治体から支払いを求める督促状が届きます。
③ 財産調査・差し押さえ:最終的には預貯金や給与、土地・建物といった財産が差し押さえられることもあります。
このような事態を避けるためにも、まずはご自身の状況を正確に把握し、早めに対策を検討することが大切です。
固定資産税の納付が困難な際は自治体に相談
納付書に記載された金額を一括で支払うのが難しいと感じたら、決して一人で悩まず、お住まいの市町村の担当窓口(資産税課など)へ相談しましょう。
事情を説明することで、納付者の状況に応じた以下のような制度を利用できる場合があります。
① 分割納付
納税者の状況に合わせて、無理のない範囲で複数回に分けて納付する計画を相談できます。
② 徴収の猶予
災害、病気、事業の廃止など特別な事情により、一時的に納税が著しく困難な場合に申請できる制度です。認められると、その間の延滞金も軽減または免除されます。
③ 換価の猶予
すでに財産が差し押さえられている場合でも、生活の維持や事業の継続を困難にする恐れがあるときに、その財産の売却(換価)を猶予してもらえる制度です。
まずは電話でも構いませんので、納付期限が過ぎる前に連絡し、「支払う意思はあるが、事情があって難しい」という状況を伝えることが、問題解決への第一歩となります。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 分割納付 | 支払期日や回数を調整 |
| 徴収の猶予 | 災害・病気等の事情で納税困難な場合 |
| 換価の猶予 | 生活や事業の維持が困難な場合 |
固定資産税の負担を軽くするための選択肢
納税の猶予などで時間的な余裕ができた後は、空き家そのものをどうするか、根本的な解決策を検討していきましょう。主な選択肢には、以下のような方法があります。
① 空き家を手放す
空き家を手放す代表的な方法として、「売却(仲介)」と「買取」があります。
売却:なるべく高く売りたい方へ
不動産会社に購入希望者を探してもらう、一般的な方法です。市場価格に近い価格での売却が期待できます。
- メリット
- ■ 市場価格に近い高値での売却の可能性
- ■ 幅広い購入希望者へのアプローチ
- デメリット
- ■ 売却成立まで長期化することも
- ■ 内覧対応や室内の片付けといった手間がかかる
買取:早く手間をかけずに手放したい方へ
不動産会社に、直接その空き家を買い取ってもらう方法です。売却活動の手間や時間を省けるのが最大のメリットです。
- メリット
- ■ 短期間でのスピーディーな現金化
- ■ 清掃や家財整理が不要な「現状渡し」が可能
- ■ 近隣に知られずに手放しやすい
- デメリット
- ■ 仲介に比べて売却価格が低くなる傾向
相続土地国庫帰属制度:国に土地を引き取ってもらう
一定の要件を満たす土地であれば、審査料と負担金を納めることで国に引き取ってもらう制度です。建物の解体が必要など条件はありますが、将来にわたる固定資産税の負担を完全に無くすことができます。
- メリット
- ■ 将来にわたる固定資産税や管理負担からの解放
- デメリット
- ■ 建物解体などの条件や、承認されないケースもある
- ■ 10年分の土地管理費相当の負担金が必要
② 空き家を活用して収益や価値を生む
手放すだけでなく、空き家を資産として「活用する」という選択肢もあります。固定資産税の支払いを上回る収益を生み出せれば、家計の助けにもなり得ます。
賃貸に出す:継続的な家賃収入を得る
リフォームや修繕を行った上で、入居者を募集し賃貸物件として貸し出す方法です。
- メリット
- ■ 運用が上手くいけば毎月安定した家賃収入
- ■ 適切な管理で資産価値の維持・向上
- ■ 「住宅用地の特例」が継続され、固定資産税の軽減が続く
- デメリット
- ■ 貸し出せる状態にするためのリフォーム費用
- ■ 入居者が見つからない「空室」のリスク
- ■ 入居者トラブルや家賃滞納への対応
- ■ 物件の定期的な管理やメンテナンスの手間
③ 相続放棄
上記の選択肢とは別に、「相続放棄」という手続きもあります。これは、空き家だけでなく預貯金などプラスの財産も含め、一切の遺産を相続しない方法です。
家庭裁判所での手続きが必要で、原則として「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」という期限がありますが、撤回ができないため慎重な判断が求められます。
- メリット
- ■ 空き家の固定資産税や管理義務からの解放
- ■ 借金など、マイナスの財産も引き継がずに済む
- ■ 将来の所有者としての責任問題の回避
- デメリット
- ■ 預貯金などプラスの財産も含め、全ての相続権を失う
- ■ 一度手続きをすると後から撤回することはできない
相続登記の義務化|売却や活用を進めるための手続き
前述の「売却」や「賃貸」といった対策を進める上で、大前提となる手続きが「相続登記」です。これは、不動産の所有者が亡くなった際に、その不動産を相続した人の名義へ変更する手続きを指します。
この相続登記について、知っておくべき重要なポイントが3つあります。
① 義務化の開始
これまで任意だった相続登記は、2024年4月1日から義務化されました。
② 申請の期限と罰則
相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
③ 登記しないことのデメリット
何より、相続登記が完了していないと、法的に所有者が確定していない状態のため、売却や賃貸借契約といった手続きを一切進めることができません。
ご自身の状況に合った解決策へスムーズに進むためにも、まずは、相続登記の手続きを済ませておくことが不可欠です。
まとめ
相続によって空き家を取得した際の固定資産税は、多くの方にとって負担となり得ます。しかし、何もせず放置してしまうと、状況はさらに悪化しかねません。
納付が困難な場合は、まずはお住まいの市町村へ相談することで、時間的な猶予を得られる可能性があります。
その上で、売却や活用といったご自身に合った今後の計画をじっくりと検討することが大切です。